ジェンダーレスなユニフォームの特徴と4つのメリットを解説
2023.04.30
目次
「男性はパンツで女性はスカート」といった性別の枠にとらわれた概念から、さまざまな価値観を認める文化が育っている現在。ユニフォームにも「ジェンダーニュートラル」な考えを反映させることが増えてきています。
ジェンダーニュートラルとは男女の性差のいずれにも偏らない考え方であり、昔ながらの伝統的な性別による役割意識にとらわれない行動、思考、制度などを支持する考え方のこと。
昔ではユニフォームは男女でデザインが違うのは当たり前でしたが、近年では男女同デザインのユニフォームも増えています。この記事では、近年のユニフォームとジェンダーの関わりについて解説いたします。
ジェンダーレスとは
そもそもジェンダーとは社会的・文化的な側面から発生した性別を指しています。たとえば料理は女性がやるものという考え、賃金格差、管理職や国会議員の男女比、などが挙げられます。
男性なら強くあるべきという考え、男性が女性をリードするものという恋愛観など、男女両方にジェンダーは存在します。そしてジェンダーは差別意識を助長させていきます。
冒頭でジェンダーニュートラルという言葉を使いましたが、日本ではジェンダーレスといういい方が1番広く浸透しているかと思います。ジェンダーレスとは性別によって格差をつけないこと。
毎年世界経済フォーラムでは、ジェンダーギャップ指数というものが発表されています。ジェンダーギャップ指数とは教育、経済、健康、政治の分野で0が完全不平等、1が完全平等で点数をつけて、男女平等の度合いを各国で数値化したものです。
2022年に発表された日本のジェンダーギャップ指数は0.650、順位で表すと146か国中116位という先進国で最低レベルの数値が出ています。日本は教育分野では1.00で1位ですが、政治が0.061、と経済0.564で大きく足を引っ張っていることがうかがえます。
つまり日本では大人になって社会で働いている場で、まだジェンダーがしっかり存在しているということです。日本は世界的に見れば、まだまだジェンダーの考え方が根深いのだと感じさせられます。
ジェンダーフリーとの違い
ちなみに似たような言葉として、ジェンダーフリーというものがあります。ジェンダーフリーは性別にとらわれず、各々の個性や根本的な資質に合った生き方を自分自身が好きなように決定できるようにするという考え方のことです。
ジェンダーによる性差をなくした後、自分自身が自由に生きていける、つまりジェンダーレスを達成したその先にジェンダーフリーが存在するといえます。
ジェンダーレスユニフォームの特徴
ジェンダーがまだまだ残る日本ですが、その中でユニフォームの世界では少しでもジェンダーレスを達成しようと日々進化しています。ジェンダーレスのユニフォームに多い特徴を紹介します。
男女ともに同じ色合い・デザイン
女性はピンク、男性は青などはっきりジェンダーが見えるユニフォームではなく、男女で同じ色合いに揃え、さらにデザインも同じにすることで差をなくす試みが図られています。
近年ではAeroKという韓国の航空会社で発表された新ユニフォームが、ジャケットのボタン以外、女性乗務員と男性乗務員のユニフォームのデザインの差がないという話が話題を集めました。
以前は、女性はスカートでヒール、男性はネクタイで先の細い革靴を履かなければならず、男女ともに不満があったそうです。新しいユニフォームは襟なしで全員スラックス、靴も男女同じデザインでシンプルな運動靴をシックにしたような紐靴へと変わりました。
この例は「ジェンダーレスなユニフォームにすることで、ジェンダー問題の解決だけでなく、動きやすさも増し、安全性まで高められる」ということを示しています。
スカート・パンツが選べる
女性用のユニフォームにおいて、スカートとパンツの選択ができる企業が増えています。
たとえばサービス業や公共交通機関で働く方で、パンツ姿の女性をよく見る光景が増え始めています。とくに交通機関の中でも航空業界では長らく客室乗務員は女性がほとんどでしたが、近年急速に世界中の航空会社で女性用の制服にパンツを取り入れてきています。
やはりスカートは動きづらく、スカートにはヒールを合わせることも多いので仕事をする上で動きやすいリラックスした服装とはいえない部分はあります。しかしその感じ方も多種多様なので、スカートかパンツか、選べるのがよい仕事づくりにつながる可能性があります。
ユニフォームをとおしてジェンダーレス社会へ
2021年度での調査で女子用スラックス制服が取り入れられている採用率は全国で44.4パーセントという結果が出ており、既に全国の半分弱の学校では女子がスラックスを選択できるということがわかります。
ユニフォームはブランドイメージを表す存在であり、会社の顔といっても過言ではありません。企業の考え方やテーマがユニフォームには反映されていることが多いです。また基本的に毎日着用するものなので、多くの人に見られ、お客様の印象にも残ることがよくあります。
ユニフォームをジェンダーレス仕様にしてニュースにも取り上げられたら、他企業や他業界も続々とジェンダーレスなユニフォームに変更していくことだって考えられます。それだけ影響力の大きいユニフォームにジェンダーレスの要素を加えることは、社会のジェンダーレス化にも貢献していることになります。
ジェンダーレスなユニフォームを導入するメリット
ジェンダーレスなユニフォームを導入すると、従業員と企業とのどちらにもメリットがあります。「ジェンダーレスは自分に関係ない」と思っている方もいるかもしれませんが、ジェンダーレスなユニフォームがもたらす恩恵は、ジェンダーに悩む人以外の全員にもあります。
固定概念にとらわれないスタイルを実現できる
ジェンダーレスなユニフォームは男性らしい、女性らしいといった性差に基づくファッションにとらわれないので、多彩なサイズやデザインが生まれるようになりました。
たとえば学校の制服でリボンとネクタイ、スカートとスラックスが選べる学校が出てきていますが、スラックスとリボンを合わせるという従来では存在しなかったファッションが生まれます。このようにジェンダーレスなユニフォームでは固定概念にとらわれない新しいスタイルの実現が可能になるのです。
従業員が自由に制服を選べる
同じく学校の制服を例に挙げますが、一般的に着たまま通学します。冬にスカートというのは寒く、雪がたくさん降る地域では足が冷え切ってしまいます。体調やコンディションにも関わり、勉強を集中して受けられるかという部分にも影響してきます。
このような例ではジェンダーと関係ないですが、スカートかパンツを選べると自分の体調に合わせることもできます。ジェンダーレスなユニフォームはジェンダーレス関係なく、各々の事情に合わせて選べるという利点もあり、これは企業のユニフォームでも同じことが言えます!
ジェンダーレスへの取り組みを制服を通して表現できる
企業におけるジェンダーレスへの取り組みとして、セクシャルハラスメントの防止や男女差別を撤廃、男性の育児休暇取得を目指すなどが挙げられます。しかし、企業だけの問題ではなく、従業員一人ひとりの意識にゆだねる部分も大きく、難しい部分もあります。
ユニフォームのジェンダーレス化は確実にジェンダーレスへの取り組みが行えると同時に、仕事に支障が出るわけではないので比較的取り入れやすいです。ユニフォームは人の目にも触れやすいので、ジェンダーレスへの取り組みを内外へ伝えられるというプロモーション効果もあります。
従業員満足度の向上・離職率の低減につながる
ジェンダーレスなユニフォームは選択の自由があり、自分のスタイルに合わせることができるものです。自由が広がりスタイルに合わせられるのはユニフォームに対する満足度向上につながります。
ユニフォームの満足度が上がるということは会社や仕事への満足度も上げることにつながり、離職率の軽減も期待できます。社員も満足できる仕事に安定して長く取り組め、会社としてもリクルート効果につながるのでどちらにもメリットがあります。
ジェンダーレスなユニフォームを導入する際の注意点
ジェンダーレスなユニフォームを導入する際には、注意したいポイントが2点あります。ポイントを押さえ、より良いユニフォーム導入を目指しましょう。
サイズが豊富に用意されているメーカーを選ぶ
男女がまったく同じユニフォームを採用する企業も増えてきているので、1つのデザインでサイズを豊富に用意する必要があります。
いざ採寸というときにサイズがなければ意味がなくなってしまいます。最初にサイズが豊富かどうかに確認することが大切です。
ジェンダーレスや多様性の受容に取り組むメーカーを選ぶ
問い合わせる時点で、ジェンダーレスなユニフォームを選びたいとはっきり伝えておきます。メーカーによって、考え方や取り組み内容も異なりますので想いを実現できるメーカーを探しましょう!
まとめ
ジェンダーレスはあくまで1つの例で、世の中にはまださまざまな偏った考え方や差別などが残っているのが現実です。
ジェンダーレスに踏み出すというのは、ジェンダーだけではなく多種多様な考え方を受け入れる第一歩ともいえます。
ユニフォームの導入やモデルチェンジを検討している場合は、ぜひジェンダーレスの観点も取り入れてみましょう。
今回の記事を参考に、ご希望に寄り添ったご提案をさせて頂きますので、お気軽にカーシーカシマにご相談ください。